この不快な気候で、私の暑苦しいマニア心は すっかり萎えてしまった。 なに着ても暑いから服のことなんか考えられません。 これじゃいかんとは別に思わないけど、ふと中目黒の 古着ショップに立ち寄ってみる。 いつものボスは海外仕入れのため不在でしたが、 ハーフっぽいハンサムクンが私の顔を憶えていたらしく、 さり気なく奥の間に誘導してくれました。 ここは超マニアックな商品倉庫という趣で 見るものすべてがレアでディープで、実に楽しい。 私には着られそうもないがヨーロッパの博物館にあっても 不思議はない巨大ジャケットや、 目のなかに入れても痛くない子供服など お値段もそれなりですが、目の保養にはなる。 エアコンもガンガンに効いていて、こりゃいい暇つぶしだ。 と思ったら、隅の棚に フランスの料理人用らしき黒白ギンガムのワークパンツ発見。 しかしデッドストックとは珍しい。手にとるとずっしりと重い。 首をひねりつつ、ばさっと広げてディテールを拝見する。 まず驚いたのは通常のフロントポケットの上に もうひとつ、パッチポケットが縫いつけられている。 右ヒップポケット下にはドライバーポケットや ハンマーループはなく、文庫本がすっぽり入るくらいの 正方形ポケットとペンポケットが付いている。 ワークパンツだから、なにかしら用途があるのだろうが 見当もつかないし、こんなデザイン見たことない。 生地はバリバリの厚地コットンで、チェックの柄は 織りではなくプリントだから裏を返せば生成りの無地。 フロントポタンは月桂樹、ということは生産国はフランスではなく アメリカで、製造が1940年代であることが分かります。 ポケットの口など要所はカンヌキ留めで、ポケットの袋は2重底。 まあ、かなりの重作業のためのユニフォームでしょうな。 ほぼあり得ないサイズ、ウェスト30inc.だったので 試着したらホラね、ぴったりじゃないか。 買わない理由がありません、と思ったら なんとフロントポケットの袋がない。 これじゃただの穴で、使い物にならない。 やれやれ無駄遣いしなくて済むと思いつつハンサムクンに説明。 ところがなんと、なるべく似たような生地でよろしければ ポケットは無料でお作りします。 ナンデストー、これで買わない理由は消滅しました。 裾の調整も無料でやってくださるというので ありがたく買わせていただくことにしました。 長さはジャストサイズ+2cmで、裾から2cmのカ所にミシンステッチ。 ステッチの位置でロールアップするのが私の流儀です。 これにはもうひとつ理由があり、 万が一、丈が縮んでしまった場合の保険になります。 その場合はロールアップせずに穿けばよろしい。 仕上がりはイメージ通り、野暮ったくて格好いい。 この雰囲気は今の時代、再現不可能です。 白のTシャツ、スニーカーといったありきたりの組み合わせでも なんとなく不思議なオーラが漂うね。 そのうえ、素敵なエコバッグに入れて渡してくれました。 私、年寄りにやさしいお店は大好きです。 私の右手にご注目。これが謎のダブルポケットです。
by nori_g
| 2010-07-20 22:34
| カジュアル
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